AI-Powered Analysis Builderの仕組み
はじめに
PatentSight+ は、直感的なユーザー入力と高度なAIを組み合わせることで、知的財産(IP)分析の手法を大きく進化させます。
本記事では、直感的に操作しながら、短時間で本質を捉えた分析が行える最先端のAI機能について ご紹介します。
PatentSight+ におけるAI搭載機能とは?
PatentSight+ は、AIを「Analysis Builder」と「インサイト」の自動生成の両方に活用しています。
分析したい内容を入力すると、AIがすぐに最適なチャートやテーブル、分析結果を生成します。
AI-Powered Analysis Builderについて
AI-Powered Analysis Builderでは、オーナー(Owner)を検索し、その特許ポートフォリオをどのように分析したいかを入力すると、AIが適切な分析テンプレートを提案してくれます。
複雑な設定も不要で、目的に応じた分析をスムーズに始められます。
• 分析プロセスをよりスムーズに:目的を入力するだけで、AIが検索設定をサポートし、必要なデータの見せ方や図表の形式を提示してくれます。
• 複雑な特許データもわかりやすく整理 : AI-Powered Analysis Builderは、大量の特許データを自動で 整理し、すぐに活用できる形でインサイトを表示します。これにより、複雑で分かりにくい知財情報も、簡単に理解・活用できるようになります。
• 視覚的インサイトを自動で生成:検索式の内容に応じて、システムがチャートやテーブルを自動生成。手作業でのチャートやテーブルの作成にかかる時間と労力を大幅に削減します。
AI-Powered Insightsについて
AI-Powered Insights機能は、検索で表示されたチャートのデータをもとに、詳細な説明文を自動生成し、サイドパネルに表示します。チャートの内容をすぐに理解できるだけでなく、特許データだけでは見えにくい背景や文脈も把握でき、分析結果への理解が深まります。
Analysis Builderを使用すると、AIが検索データを解析し、分析目的に沿った関連性の高いチャートや テーブルを自動で生成します。さらに、AI-Powered Insights機能により、トレンドの把握、競合比較、 戦略的な意思決定に役立つ解説も同時に生成されます。
これらのインサイトは、Analysis Builderで設定した分析目的に基づいて最適化されており、「Summary」「Key Insights」「Next Steps」の3つの要素で構成されています。
AI-Powered Insightの仕組み
検索を実行すると、その情報(チャートの文脈データや検索の詳細)が大規模言語モデル(LLM)に 送信されます。LLMはこれらの情報を処理し、内容に応じた説明文を生成します。
その後、AI Assistantがチャートの要点をまとめた「Summary」をすばやく作成し、全体の文脈と重要なポイントを明確に示します。
「Key Insights」では、チャート結果の背景や要因、主な情報源に基づいて、重要なポイントや傾向が 示されます。
「Next Steps」では、これらのインサイトをもとに、さらなる分析の方向性やビジネス上の具体的な アクションが提案されます。
以下は、データを元にした基本的な見方の一例です。
Summary
● 分析結果を理解するための背景情報
● 重要なインサイトの全体像と概要
Key Insights
● チャートから得られる主なインサイト
● 結果に関連する主な要因や参考情報の提示
Next Steps
● さらなる分析に向けた次に取るべき手順、または
● インサイトに基づいて取るべきビジネス上のアクションの提案
AI-Powered Analysis Builderの仕組み
オーナーを検索する
ホーム画面の上部にある「Analysis Builder」から操作を開始できます。
画面には2つの検索項目の入力欄が表示されます。最初の検索項目では、分析したいオーナーのポートフォリオを指定できます。
調べたいオーナーの名称を入力すると、候補の一覧が表示されるので、該当するものを選択してください。
分析の目的を入力する
次に、2つ目の検索項目に分析の目的を入力します。
この検索項目をクリックすると、入力できる指示の例がいくつか表示されます。 以下をご参照ください:
入力された指示は、その内容に応じて最適な分析テンプレートに自動的にマッチングされます。 分析テンプレートは、指定された分析目的に沿って構成されたチャート・テーブルの組み合わせです。
インサイトの見方
AI-Powered Analysis Builderで検索を実行すると、「AI-Powered Insights」機能が自動的にチャートデータを解析し、AIによって生成された詳細な説明をサイドパネルに表示します。
インサイトは以下の3つのセクションに分かれて表示されます:
-
Summary
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Key Findings
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Next Steps
これらのインサイトは、AI-Powered Analysis Builderに入力した組織名だけでなく、入力した分析目的にも基づいて生成されます。
AI-Powered Insights は、新たな視点や気づきを得るきっかけを提供することを目的としています。
ご自身の理解を確認したり、見落としていた情報に気づくためのサポートとしてご利用いただけます。
また、分析目的に基づかない、より汎用的なAIインサイトを表示するオプションも用意されています。
このオプションは、サイドパネルの下部に表示されます (初期入力を考慮せず、このチャートをより一般的に分析します(Analyze this chart more generally without considering my initial input)) 。
「基本メニュー(Custom Analysis)」からのインサイト生成
AI-Powered Insights は、「基本メニュー」(Custom Analysis)からも生成することができます。
唯一の違いは、対象のチャート内で「インサイト生成(Generate Insights)」ボタンをクリックする必要がある点です。
クリック後、Summary, Key Insights, Next Stepsが画面右側に表示されます。
注: 「基本メニュー(Custom Analysis)」からインサイトを生成する場合、分析目的が設定されていないため、AI Powered Insightsはその意図を認識しません。
そのため、生成されるインサイトは検索条件や選択したチャート/データに基づいて作成されます。
活用例
PatentSight の「AI-Powered Analysis Builder」と「AI-Powered Insights」は、分析作業の効率化だけで なく、新たな発見や深い洞察を得る手助けにもなります。
このセクションでは、これらのツールの活用例をご紹介し、どのような使い方ができるのかをご理解 いただくことで、導入の参考にしていただくことを目的としています。
AI機能の活用方法についてさらに詳しく知りたい方は、お気軽に以下までご連絡ください:
ビジネス別の活用例:
企業の特許戦略をすばやく把握する
例: 'Show me Company X's patent strength and innovation trends' (Company X の特許の強みと技術開発の傾向を知りたい)
●このような指示に対して、以下のようなチャートが自動提案されます:Patent Asset Indexトレンド、特許ファミリー:質トレンド、テクノロジークラスターズ:Patent Asset Indexトレンド
●さらに、ポートフォリオの質、技術分野、トレンドをまとめたワークブックも自動生成されます。
活用場面:
- 専門的な知識がなくても、経営判断に役立つレベルのインサイトをすばやく得ることができます。
- 戦略立案やM&A候補の検討、競合分析などにも有効です。
特許ポートフォリオの地理的展開を把握する
例:'Where is Company X protecting it's IP? (Company X はどの国・地域で知的財産を保護しているのか?)
- このような指示に対して、以下のようなチャートが自動提案されます:国際的保護戦略、特許 生存国、特許生存国:Patent Asset Indexトレンド、特許生存国:特許ファミリー件数トレンド
活用場面:
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FTO(実施の自由)リスクの評価、市場参入の検討、知財権行使の計画立案に有効です。
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特に法務部門や、各地域の製品責任者にとって有用です。
特許年金維持費用の見直しと削減
例:“Which of our patents could be pruned to save costs?” (コスト削減のために、どの特許を整理すべきか?)
- このような指示に対して、以下のようなチャートが自動提案されます: 特許維持年金の節約可能性、外部引用と内部引用Technology Relevanceの対比, 出願年:リーガル・ステータス、 デシル分析、国際的保護戦略
活用場面:
- 知財チームが次のような判断を行う際に有効です:a)維持コストが高く、価値や戦略性の低い特許の特定 b)整理すべき特許の優先順位付け c)高価値または高リスクな特許への予算集中。
- データに基づくポートフォリオの見直しを通じて、効率的で無駄のない知財運用が可能になり ます。
注目すべき発明者や技術拠点を特定する
例:'Who are the top inventors at Company X?' (Company X で注目するべき発明者は誰か?)
- このような指示に対して、以下のようなチャートが自動提案されます: Patent Asset Indexランキイング、 発明者:Patent Asset Indexトレンド、発明者:特許ファミリー件数トレンド、発明者:質と量の対比
活用場面:
- 優秀なR&D人材や技術チームの分布を可視化でき、M&Aや採用時の人材評価にも活用できます
- 組織のベンチマーキングや戦略的人材活用にも有効です。
利用シーン別の活用例:
引用分析
Who is building on the technology of Company X? (Company X の技術をもとに発展しているのは誰か?)
ライセンス機会の特定
What are the licensing opportunities for Company X? For Company X, how can i monetise this portfolio?
(Company X にとってのライセンス機会は?このポートフォリオをどう収益化できるか?)
特許オーナーの全体像を把握する
Show me Company X's strongest and most highly cited patent? (Company X の中で、最も影響力があり 被引用数の多い特許ファミリーはどれか?)
R&D戦略
Where are Company X's R&D centres located? (Company X の研究開発拠点はどこにあるのか?)
ポートフォリオ管理
Which technologies and IPCs make up the portfolio? (このポートフォリオは、どの技術領域やIPCで構成されているのか?)
FAQs
AI機能を利用する際、データの安全性は確保されていますか?
はい。すべてのAI処理は、LexisNexis IP 専用に構成された Microsoft Azure 上のプライベートな OpenAI サービスを通じて行われます。
そのため、お客様の入力および出力データは以下の点で保護されており、安心してご利用いただける 設計となっています。
- 情報が他のお客様と共有されることはありません
- OpenAI によって、学習や機能改善に使用されることはありません
- 他社のAIモデルやサービスの改善に使用されることはありません
これらのAI機能は追加費用がかかりますか?
いいえ。 「AI-Powered Insights」および 「AI-Powered Analysis Builder」は 追加料金なしでご利用 いただけます。
対応している言語は何ですか?
現時点では、両機能とも英語での入力・出力に最も適した結果を提供します。
これらの機能で使用されているAIモデルは何ですか?
OpenAI の大規模言語モデル(Large Language Model)を使用しています。現在は GPT-4o を 採用しており、最適なパフォーマンスを維持するため、必要に応じてモデルは更新されます。
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AI-Powered Insightsは信頼できますか?
概ね信頼性があります。社内およびベータテストの結果では、約75%のチャートインサイトにおいて 精度に関する問題は確認されていません。
ただし、すべてのAI出力と同様に、特に重要な意思決定に活用する際は、人による確認を行うことをおすすめします。
AIインサイトと対話したり、カスタマイズすることはできますか?
現時点ではできませんが、将来的なアップデートで双方向のやり取りが可能な機能が追加される予定 です。ユーザー様からのフィードバックを通じて、インサイトの精度や関連性の向上に取り組んでいます。
過去の分析結果や時系列でインサイトを比較できますか?
いいえ、現在のところ比較機能はありません。
本機能では、過去のインサイトを保存・参照することはできません。
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AI-Powered Analysis Builderの特徴とは?
分析の目的を自然な英語で入力するだけで、意図に合ったチャート、テーブル、インサイトがすぐに 提案されます。
これにより、特に初めて使う方や利用頻度の少ない方でも、分析のハードルが大幅に下がります。
自動で提案されるチャートや表の精度は?
提案内容は、ユーザーが入力した自然言語に基づいて生成されます。
入力内容によって提案の精度は変わりますが、平均して約70~75%の精度で目的に合った内容が提案されます。
この精度は、a) 精度と再現率に基づく評価(Precision-Recall)、および b) 分野専門家からの質的な フィードバックの2つの方法で検証されています。
複数のオーナー分析やUN SDGsなどの検索項目にも対応していますか?
いいえ、現在のバージョンでは、1社(1つの特許オーナー)を対象とした分析のみ対応しています。
ただし、PatentSight+ においては単一企業の分析が最もよく使われるユースケースです。