PVIXスコア・レポート
このページでは、ClassificationのPVIXスコア・レポートの目的、算出方法、生成手順、読み解き方を説明します。
豆知識
PVIXに加えて、品質指標の別アプローチであるPatent Asset Indexも提供しています。特許評価においてどのようなインサイトが得られるかはこちらをご覧ください。
PVIXスコア・レポートとは?
PVIX(Portfolio Value Index)はUnified Patentsが公開学術研究に基づいて開発した特許ポートフォリオ価値の指標です。スコアはFamily、Market、Reputationの3要素で構成されます。アルゴリズムの詳細は、Portfolio Value Index Methodologyをご参照ください。
PVIXスコア・レポートは、ポートフォリオのレビューや比較を行い、業界で認知されたスコアでポートフォリオの強さを評価したい場合に最適です。ClassificationのPVIXレポートでは、スコアを組織別、技術別、時系列で分解して可視化します。
たとえば、ポートフォリオの棚卸しやレビューの際に、ポートフォリオ内で相対的に強い特許ファミリーを見つけたいケースに有効です。
PVIXの方法論
Family:少なくとも1件の特許付与国(Granted)を含む各特許ファミリーにPVIXスコアが付与されます。特定のポートフォリオの総PVIX値は、そのポートフォリオに含まれる各ファミリーのPVIXスコアの単純合計です。ファミリー単位で評価することで、同一発明を複数の出願・特許がカバーしている場合に水増しされることなく、各基本発明の地理的市場および技術的インパクトを評価できます。
特許ファミリーの地理的市場はMarketスコアで、開示された発明の技術的インパクトはReputationスコアで捉えます。ある特許ファミリーのPVIXスコアは、本質的にMarketスコアとReputationスコアの積として定義されます。
すべての特許ファミリーにPVIXスコアが付与されたのち、生のスコアは0〜100に正規化されます。世界全体の特許ファミリーのスコア分布を基準とし、PVIXスコアは新たな引用や公開が行われるのにあわせて毎月更新されます。
各公報について、引用件数は次の階層で正規化されます:①公開時期、②国・特許庁、③技術分野(CPC分類コード)。
例:Company Aの平均PVIXが60、Company Bの平均PVIXが50であり、引用は技術分野で正規化されているため、両社がどの技術分野で出願していても、Company Aの特許のほうが相対的に高く評価されているといえます。
PVIXの方法論の詳細は、Portfolio Value Index (PVIX) Methodologyをご覧ください。
PVIXの算出方法
Market:学術研究によれば、特許価値は各国のGDPと強い相関があります。したがって、ある特許ファミリーの経済的側面の評価には、そのファミリーが1件以上の現存特許(登録済みかつ有効)を有する各国・特許庁の最新GDPを用います。
Reputation:研究によれば、前方引用は特許の強さを示す有力な指標です。そこで、Reputationスコアは前方引用を用いて、時間の経過とともに他の特許文献からどの程度認知されているかを捉えます。
PVIXスコア・レポートの生成方法
次の手順でExcel形式のPVIXスコア・レポートを取得できます。
- Report Builder(レポート・ビルダー)をクリックして新規レポートを作成します。
- Organisation search(組織検索)、Boolean search(ブーリアン検索)、またはPatent upload(特許アップロード)機能を使って、レポートにポートフォリオを追加します。
- 選択内容が確定したら、Done(完了)をクリックします。ここでレポート名の設定や、Classifier(分類器)の適用、またはクラスタリングの選択が可能です。
- レポート実行後、画面左上の「Export Report Options(エクスポート・レポートのオプション)」アイコン(四角に矢印がある青いアイコン)をクリックし、Quality(品質)配下からPVIX scores(PVIXスコア)を選択します。Excelの生成に少し時間がかかりますが、完了後すぐに分析を開始できます。
注:PVIXスコア・レポートはエクスポート・レポートですが、レポート内で閲覧できるPVIXチャートも用意されています。PVIXチャートの詳細はこちらをご覧ください。
PVIXスコア・レポートの概要
Summary(サマリー)タブでは、レポート内のポートフォリオについて、組織別・技術別のPVIXスコアを俯瞰できます。Histogram(ヒストグラム)タブでは、組織ごと・技術ごとにスコア帯のファミリー構成比を確認できます。Size Comparison(サイズ比較)タブでは、ポートフォリオ規模と品質の関係を視覚的に比較できます。Time Comparison(時系列比較)タブでは、優先権主張年ごとのヒートマップでスコア推移を把握できます。Data(データ)タブでは、Organisation(組織)、Technology(技術)、Family ID、Priority Year(優先権主張年)、PVIXスコアでフィルタリング可能な生データにアクセスできます。
PVIXスコア・レポートの読み方
PVIXスコア・レポートは、ポートフォリオのレビューや比較、および相対的な強さを業界標準のスコアで評価するのに適しています。Portfolio Value IndexはUnified Patentsが開発した指標で、Family、Market、Reputationの3要素に基づきます。
ここで言うvalue(価値)という語は、PVIXレポートのスコアが示す相対的な強弱として解釈するのが適切です。すなわち、valueやquality(品質)、あるいは「どのファミリーが最良か」といった問いに対し、一定の基準に基づくスコアで相対比較を行うものです。
ClassificationのPVIXレポートは、Summary(サマリー)、Histogram(ヒストグラム)、Size Comparison(サイズ比較)、Time Comparison(時系列比較)、Data(データ)の5つの主要タブから成るExcelで提供されます。以下では、組織別・技術別・規模別・時系列の見方を解説します。
Summary(サマリー)タブ
Summaryタブには2つのサマリー表があります。
1つ目の表は、技術別に分解したポートフォリオ全体のPVIX合計スコアです。これは規模(件数)と強さ(スコア)の両面を正規化しており、たとえば「半分の規模・2倍の強さ」のポートフォリオと「2倍の規模・半分の強さ」のポートフォリオが同等スコアになり得ることを示します。
Total(合計)行:各組織のポートフォリオ合計スコア
2つ目の表は、技術別に分解したポートフォリオの平均PVIXスコアです。これは、特定企業が特定技術領域でどれだけ「良い」特許を持っているかを、規模の影響をならして(平均して)比較できるようにしたものです。すなわち、ボリュームを無視して「誰がどの領域で強いか」を読み解けます(例:「Company Aはtechnology Xで強い」)。
Overall(全体)行:各組織のポートフォリオ平均スコア
Histogram(ヒストグラム)タブ
Histogramタブには、組織別と技術別のスコア分布を要約する2つの表があります。
最初の表は組織別PVIXヒストグラムで、各スコア帯に属する特許ファミリーの割合を示します。たとえば列「65」は「60–65」のPVIXスコア帯を表します。
Summaryタブで平均60と同じだった2社でも、Company Cは大半が60のスコア帯である一方、Company Dは40–55のスコア帯が多いなど、内訳は大きく異なることがあります。逆に、平均が同じでもポートフォリオの半分が70台というケースもあり得ます。こうした分布の違いはポートフォリオの性質の違いを反映します。
競合レビューでは、50前後の部分は看過できても、70台のクラスターは脅威となり得ます。組織別・技術別ヒストグラムはこの広がりを視覚化します。
Whole report(レポート全体)行:本レポートに含まれる全ポートフォリオの分布平均
All families(全特許ファミリー)行:世界中のすべての技術・すべてのファミリーに基づく比較基準
もし自社のスコア分布が競合より低い場合、低スコア特許が多すぎる可能性があり、放棄を検討できます。あるいは単に競合よりスコアが低いだけで、投資の強化が必要という示唆かもしれません。
Tips
必要に応じて、Data(データ)タブの生データを使い、会社や技術でフィルタして比較できます。あるいは先にレポート側で対象の会社・技術に絞り、PVIXレポートを再実行しても構いません。
Size Comparison(サイズ比較)タブ
サイズ比較チャートは、ファミリー数(規模)と強さ(平均スコア)を分離して示します。
最初のチャートはレポート全体のポートフォリオ位置を組織別に示します。Y軸で保有量が、X軸で平均PVIX(強さ)がひと目で比較できます。
以降のチャートでは、技術別に分解したサイズと強さの比較を表示します。
Time Comparison(時系列比較)タブ
時系列比較のヒートマップは、優先権主張年ごとの平均PVIXスコアを、まず組織別に、続いて個別技術別(組織別内訳付き)に示します。
各社が「最も高スコアの特許(=最も強い特許)」を出願していた時期を把握できます。たとえば最高スコアが2002年に集中し、その後低迷しているなら、ポートフォリオに課題があるシグナルとなり得ます。
色は、Green(高スコア)/Red(低スコア)を示します。組織別ヒートマップの傾向は、多くの場合、その下に続く技術別(組織別内訳)のヒートマップとも相関します。
Overall(全体)行は、レポートに含まれるすべてのポートフォリオについて、優先権主張年別の平均スコアを示します。技術別の時系列比較チャートは、各技術領域について全組織の平均スコア推移を表示します。
Data(データ)タブ
Dataタブには、Organisation(組織)、Technology(技術)、Family ID、Priority Year(優先権主張年)、PVIXスコアでフィルタ可能な生データが格納されています。