目次
はじめに
LexisNexis Intellectual Property Solutionsは、イノベーションのサステナビリティ評価のプロセスを標準化することを目指しています。当社では、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の各項目に記載されているターゲットと指標に明確に関連する特許を客観的に紐づけし、特許の観点から企業の持続可能性への取り組みを評価する論理的で透明性のある手順を確立しました。特許を出願し維持するためには経済的な投資が必要であることから、当社の戦略は、持続可能性の実現に貢献する特許への投資活動をおこなっている企業のビジネスにフォーカスすることを重視しています。
Customerの課題 |
PatentSightのソリューション |
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SDGsの貢献度に標準化されたグローバルな指標がない。 |
特許データは、持続可能な社会を実現するための企業の貢献度を測る偏りのない情報源です。 |
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SDGsの報告における透明性が欠如している。 |
特許をSDGsの取り組みの指標として紐づけすることで、企業がSDGsに準拠するための努力に光が当てられます。 |
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SDGsの投資に関する正確な分析ができない。 |
特許データとPatentSightの指標を組み合わせることで、ステークホルダーはより良い意思決定を行うことができます。 |
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大量の非集計データがあるため、迅速で根拠のある分析ができない。 |
世界の特許データをSDGs関連の技術分野に紐づけることで、特許の専門家でなくても、関心のある分野に簡単にアクセスでき、分析のための貴重なインサイトを得ることができます。 |
SDGsの概要
SDGsと特許データは、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に基づいて紐づけられています。このアジェンダは231個の独自の指標と17の目標を含み、グローバルでかつ普遍的に適用できるよう、地域レベルおよび加盟国によって開発された国レベルの指標によって具体化されています。これらの指標はSDGsに関連する科学と技術の進行状況と目標達成の度合いを把握するために導入されています。
また、科学の特徴は普遍である一方、特許は国別の制度が基準となりますが、それはグローバルな視点を国レベルで実施することが求められている国連のSDGsと完全に一致しています。
SDGsのターゲットや指標に明確に紐づけることで、特許活動が活発な技術分野をリストアップすることが可能となりました。具体的な紐づけの手順は以下の通りです。
それぞれの技術分類を定義するために、検索範囲をSDGの要旨に沿って各技術に特化した特許検索を行いました。そして各技術は、関連するキーワードやIPC(国際特許分類)とCPC(共通特許分類)およびF-タームによって検索された特許によって定義されています。
国連の持続可能な開発目標
PatentSight Business Intelligenceは、SDGsに関連した17の新しい分野を提供します。
この17の分野はSDGsと同様に名づけられています。
SDG 01 - No Poverty(貧困をなくそう)
SDG 02 - Zero Hunger(飢餓をゼロに)
SDG 03 - Good health and well-being(すべての人に健康と福祉を)
SDG 04 - Quality education(質の高い教育をみんなに)
SDG 05 - Gender equality(ジェンダー平等を実現しよう)
SDG 06 - Clean water and sanitation(安全な水とトイレを世界中に)
SDG 07 - Affordable and clean energy(エネルギーをみんなに、そしてクリーンに)
SDG 08* - Decent work and economic growth(働きがいも経済成長も)
SDG 09 - Industry, innovation and infrastructure(産業と技術革新の基盤をつくろう)
SDG 10* - Reduced inequality (人や国の不平等をなくそう)
SDG 11 - Sustainable cities and communities(住み続けられるまちづくりを)
SDG 12 - Responsible consumption and production(作る責任、使う責任)
SDG 13 - Climate action(気候変動に具体的に対策を)
SDG 14 - Life below water(海の豊かさを守ろう)
SDG 15 - Life on land(陸の豊かさも守ろう)
SDG 16* - Peace, justice and strong institutions(平和と公正を全ての人に)
SDG 17* - Partnership for the goals(パートナーシップで目標を達成しよう)
* 特許情報が紐づけられていない分野
SDGsの詳細についてはこちらをご参照ください。https://sdgs.un.org/goals
SDGsに基づく技術分野
SDGsは、ターゲットと指標に紐づけられた技術分野により構成されています。それぞれの技術分野には、独自の記号が付与されています。現在97の技術分野が存在するためT097が最大の記号になりますが、将来に技術分野が追加される際にはT098が追加されることになります。この記号でそれぞれのSDGs関連の技術を素早く見つけるだけではなく、検索構文に組み込むことも可能です。
このSDGsに基づく技術分野の詳細はファクトシートにまとまられており、PDF形式にてダウンロード可能です。 各ファクトシートはそれぞれのSDGsの詳細な説明とSDGsに技術分野を紐づけるための定義に用いられたSDGsターゲット及び指標の一覧がご確認いただけます。SDGsの各技術分野をクリックするとコンテキスト・メニューが開きます。そこから「PDF」アイコンをクリックして、ファクトシート(PDF形式)をダウンロードします。
SDGsの使い方
SDGsの検索フィルターでの使い方
SDGs (UN Sustainable Development Goals) を検索フィルターの項目として追加することで、ご希望の技術分野に絞り込んでいただけます。
項目検索で「もっと見る」をクリックします。
「技術」の項目からUN SDGsを選択します。または、上部にある「検索する」欄にSDGsと入力して検索できます。
ドロップダウン・アイコンをクリックしSDGsの技術分野を開きます。選択したいSDGまたは技術分野にチェックを入れて検索範囲を設定します。(チェックを入れると自動的に入れたSDGの下の階層にあるすべて技術が選択されます。すべてを選択したくない場合には、手動でチェックをクリックして外します)
SDGs (UN Sustainable Development Goals) の技術分野について競合分析を行うことで、持続可能な技術に大きく貢献する企業を見出すことが可能です。
更に、時系列データからSDGs (UN Sustainable Development Goals) に関連する各社のポートフォリオの推移を把握することが可能です。
レーダーチャートをSDGsに適用する方法
SDGsは検索項目以外にもチャートやテーブルの項目としてもご活用いただけます。
レーダーチャートは特許ポートフォリオ(例えば1社の特許)をSDGsで識別するために開発されたチャートです。
レーダーチャートは以下の2つのセグメントにより成り立っています。
- 外側の円は選択した属性の項目を表示します(ここでは「UN Sustainable Development Goals – Goals」)。
- 内側の円は各SDGの指標を表します(ポートフォリオ・サイズ)。円のサイズは最も大きな値によって設定されます。その他のセクターの円のサイズはその最大値に対して相対的に表現されます。
レーダーチャートを活用するとSDGs関連特許を見栄えよく可視化することが可能です。各セクターにマウスを動かすと件数が確認できます。また、ダブルクリックすると技術分野にドリルダウンすることが可能です。
レーダーチャートの設定はニーズに合わせて変更することが可能です。右上の歯車マークからチャート設定を開きます。
「セクター」として表示する項目を選びます。(デフォルトではSDGs) |
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ドリルダウンの際に使用される項目を選びます。(デフォルトではSDG の技術分野) |
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「セクターサイズ」の基準となる項目を選択します。 |
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SDGsについては、ラインチャートなどの他のチャートでも可視化できます。例えば、SDGsに関連する特許と、SDGsに関連しない特許を比較してみてはいかがでしょうか?
チャートの編集の「折れ線」タブから<SDGsなし>を選択すると、 SDGsに関連しない特許を分析に含むことが可能となります。
上記の設定により、SDGsに関連する技術に対してSDGsに関連しない技術の割合の推移を分析することができます。
SDGsをグルーピング項目として使用する方法
SDGsおよび技術分野はチャートやテーブルのグルーピング項目として使用することが可能です。チャート編集の設定でセクター等をクリックして表示される「グルーピング項目の選択」画面から、左にある「技術」カテゴリーから「UN SDGs」を選択してください。または、検索欄にSDGと入力して検索してください。
パラメーターの選択では、SDGs「目標」もしくは「技術」でまとめるかを決定します。また、チャートやテーブルで表示される項目がID、またはタイトル、IDおよびタイトルなどのオプションから選択できます。
UN SDGsと、チャートやグラフでパラメーターとして使用することで、例えば、どの技術が知財の観点から特定のUN SDGsにどれだけ貢献しているかを判断することができます。
SDGsを活用した分析例
「UN SDGs」をグルーピング項目として組み合わせることで、特定の技術分野に含まれる特許がどれだけSDGsに貢献しているかを判断することが可能となります。
SDGsまたは技術にマッピングされているパテントファミリー(またはPatent Asset Index)の総数のうち、その国連SDGsまたは技術にマッピングされているパテントファミリー(またはPatent Asset Index)のシェアを分析することもできます。
例えば上記のような例からは、1社のポートフォリオに含まれるSDGs関連特許が生み出すPatent Asset Index の割合を表すことが可能です。特定のSDGにおいてグリーン・リーダーを特定することができます。
下記の例では、所有者 "A社 "は、技術 "T 030: energy efficiency"にマップされる生存特許ファミリーの約1.5%を所有していることを示しています。
初めてSDGsを分析に使用される際には、PatentSightのワークブックとして保存されているSDGsに特化した 事例集(UN SDGs)をぜひご利用ください。事例集には、事前に定義された分析セットとその説明が含まれています。「LexisNexis® PatentSight+®へようこそ」と表示されるメイン画面の右下からアクセスいただけます。
FAQs
国連の持続可能な開発目標は、ID契約に含まれていますか?
国連の持続可能な開発目標は、環境危機の中で世界に行動を呼びかけるために国連が定義したものです。LexisNexis Intellectual Property Solutionsは、特許データに基づいた偏りのない測定を導入することで、目標達成に貢献したいと考えています。そのため、企業のお客様が分析できるように、この分析分野を提供させていただきます。ReviewerとReaderのアカウントのお客様も、この新しいSDGs分析分野を日々の業務に取り入れていただくことができます。
特許は国連の「持続可能な開発目標」にどのように紐づけされたのですか?
SDGsと特許データ(発明)との関連性を確立するための手順は、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が提供するフレームワークに基づいています。
アジェンダでは、17の目標に対して231の独自の指標が用意されています。これらはグローバルなものであり、普遍的に適用可能であり、地域や国レベルの指標(加盟国が策定)によって補完されています。SDGs達成に向けた進捗状況を追跡するために使用されている指標は、特許という発明で表現される科学技術の進歩に紐づけすることができます。
特許の基準は地域の法律によって定義されていますが、特許に含まれるサイエンスは世界共通です。これは、グローバルな視点を国レベルで実施することが求められているSDGsの枠組みと完全に一致しています。特許活動が活発に行われている技術分野のうち、SDGsのターゲットと指標に明確に紐づけできるものをリストアップしました。その後、個別の紐づけ手順に従い、各技術分野はその技術分野に特有の発明の特許を検索するように定義されています。このような個別の明示的な紐づけによって検索された各技術の範囲は、SDGsメタデータによって明確になります。
国連のSDGs統計部が維持・定期的に更新している「グローバルSDG指標データベース」は、グローバルなSDG指標データを、誰もが利用できるようにしたもので、国レベルのデータと地域・世界の集計値が含まれています。2019年7月現在、231の指標のうち166のデータを含み、120万以上のデータレコードが含まれています。付属のメタデータレポジトリでは、国際的に確立された方法論と基準を持つ指標のメタデータを提供しています。国レベルのデータとメタデータにアクセスすることで、グローバルに報告され使用されているデータと方法論の完全な透明性が確保されます。データベースとメタデータ・レポジトリは統計局が管理しており、データとメタデータはカストディアン機関と呼ばれる国際機関や団体がそれぞれの任務に応じて提供しています。各技術/検索トピックの定義には、関連するキーワードと、IPC(International Patent Classification)、CPC(Cooperative Patent Classification)、F-term分類などの特許に関するさまざまな技術分類の組み合わせが使用されています。
基礎となる技術分野は誰が設定したのですか?
SDGs関連の検索はすべて、LexisNexisの特許検索エキスパートのグループによって定義、作成および紐づけられました。反復アプローチにより、すべての基礎となる検索はレビュー及びSDGs準拠の結果に応じて修正され、最終的にPatentSight分析ツールに実装されました。
各分野の参考資料はありますか?
はい、すべての検索項目は個別に定義され、BIの中でダウンロードできるようになっています。検索条件として用いられたキーワード、主要なCPCがご確認いただけます。さらに、検索フィールドと国連のターゲットや指標との紐づけについてもご案内しております。
PatentSight BIでは、国連の持続可能な開発目標をどのように利用できますか?
SDGsは、フィルター要素としてもすべての分析で使用される属性としても利用可能です。また、SDGsは指標としても利用できます。
更新の間隔はどのくらいですか?
SDGsを定義する基礎的な検索は、特許データが更新されるたびに実行されます。これにより、持続可能性に関連する分野を毎週更新することができ、新しい特許も迅速に発見することができます。さらに、国連によって変更が加えられた場合には、検索自体も調整されます。検索結果が調整された際には、完全に透明性を保つために、お客様にその調整内容についてお知らせいたします。
なぜPatentSightは、ESG分野ではなく、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を採用したのですか?
ESG(Environment、Social、Governance)分野は、明確に定義されたカテゴリーがなく、世界的に統一された定義がないため、特許となっている技術のマッピングは、曖昧で議論の余地があります。しかし、SDGsは、広く知られているだけでなく、169のターゲット、231の詳細な指標、そして付随するメタデータに基づいています。これにより、特許のもつ新規性・革新性の技術を国連の文言に明確に紐づけすることができます。なぜ、どのようにして特許の紐づけを行ったのについて、しっかりとした根拠と裏付けを得ることができるのです。当社が提供するSDGsをどのように活用するかはお客様の自由であり、ESGレポートに含めることも含めないこともできます。総合的かつ構造的な科学的アプローチがないため、現時点では特許をESG関連技術に紐づけた分野の分析は提供しておりません。